過労死関西医大研修医未払賃金訴訟大阪地裁判決 2001.8.29

研修医の労働者性を認め最低賃金法の適用があるとされた事例

H13.8.29大阪地堺支判決平成12年 (ワ) 326  (一部認容、一部棄却)

出典 : 労働判例831号36頁

判決理由

最低賃金法における「労働者」とは、労働基準法9条にいう「労働者」と同義であるところ(最低賃金法2条1号)、労働基準法9条において、「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」である旨規定されている。

そして、「使用される者」とは、他人の指揮命令ないし具体的指示のもとに労務を供給する関係にある者をいうと解されるが、具体的に「使用される者」に該当するか否かは、(イ)仕事の依頼、業務従事への指示等に関する諾否の自由の有無、(ロ)業務遂行上の指揮監督の有無、(ハ)場所的・時間的拘束性の有無、(ニ)労務提供の代替性の有無、(ホ)業務用器具の負担関係、(ヘ)報酬が労働自体の対償的性格を有するか否か、(ト)専属性の程度−他の業務への従事が制度上若しくは事実上制約されているか、(チ)報酬につき給与所得として源泉徴収を行っているか等を総合的に考慮して判断されるべきである。〔中略〕

Aらは、指導医が診察する際に、その診察を補助するとともに、指導医からの指示に基づいて、検査の予約等をしており、指導医と研修医との間に業務遂行上の指揮監督関係が認められること、平日(月曜日から金曜日)の午前7時30分から午後7時までの研修時間中においては、Aらに指導医からの指示に対する諾否の自由が与えられていなかったこと、月曜日から金曜日は午前7時30分までに被告病院に赴き、入院患者の採血を開始し、午後7時ころに入院患者への点滴が終了するまでは被告病院におり、土曜日及び日曜日についても、午前7時30分までには被告病院に赴き、入院患者の採血や点滴をしており、場所的・時間的拘束性が認められること、業務用器具についてはいずれの作業も被告病院の器具を用いること、被告は研修医に対して月額6万円及び副直手当相当額の金員を支給していること、被告病院における研修内容及び拘束時間に照らせば、Aら研修医は、事実上、他の業務への従事が制約されていること、Aが被告から支給を受けた金員は、給与所得として源泉徴収がなされていることが認められ、これらの事情を総合して検討すれば、Aら研修医は、研修目的からくる自発的な発意の許容される部分を有し、その意味において特殊な地位を有することは否定できないが、全体としてみた場合、他人の指揮命令下に医療に関する各種業務に従事しているということができるので、Aは「労働者」(労働基準法9条、最低賃金法2条1号)に該当すると認められる。


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Last-modified: 2008-09-10 (水) 13:43:20 (3357d)