*大学院生の労働者性 [#n2063043]

大学院生を診療に従事させるにあたっては、労使関係を締結せよ、ということになるようです。

**医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進及び診療に従事する大学院生等の処遇改善について(通知) [#oc213d5b]

PDF 705KB
https://www.gab.med.saga-u.ac.jp/gakunaituuchi/H2007/H200708.pdf
http://hcoa.cocolog-nifty.com/pdf/20080630_monka266.pdf ( pdf 保存 )

20文科高第266号

平成20年6月30日

附属病院を置く各国公私立大学長殿

文部科学省高等教育局長 清水 潔

医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進及び診療に従事する大学院生等の処遇改善について(通知)

医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担につきましては、これまで、厚生労働省医政局長により、別添1「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(平成19年12月28日医政発第1228001号)の通知が発せられ、各大学附属病院におきましては、医師等の過重労働の解消等を図るため、検討や対応を進められているところと存じます。

本件につきましては、引き続き、適切な役割分担の推進がなされるべきと考えており、同通知に掲げられている役割分担の例示めうち、看護師等による静脈注射の実施については、平成14年9月30日付け厚生労働省医政局長「看護師等による静脈注射の実施について」(別添2)でも、安全性等が確保できる限り、静脈注射等について医師の指示の下に看護師等も取り扱うことが可能であると示されています。

また、大学院生等が診療業務の一環として従事している場合については、労働災害保険の適用が可能となる雇用契約を締結するなど適切な対応が必要であります。

各大学附属病院におかれましては、これらの趣旨を十分に踏まえ、迅速かつ適切な対応をお願い申し上げます。

なお、文部科学省では、これらを踏まえた各大学附属病院における医師等の役割分担の状況、特に看護師等による静脈注射の実施状況及び診療に従事する大学院生等の処遇体制について、平成18年3月より定期的に実態調査を実施してきましたが、今後も、進捗状況について把握するため、平成20年10月時点の実態調査を実施しますのでご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

*賃金 0 の労働者 [#r8d05dd8]

賃金が 0 の研修生は労働者とは認められないのが原則の様ですが、賃金が 0 円であっても他に何らかの報酬に相当するものがある場合はそれを賃金と等価として労働者性を認めることもある様です。

[[労働判例研究 「研修生」契約は労働契約に該当するか?−−ユーロピアノ事件>http://homepage3.nifty.com/hamachan/europiano.html]] ( [[保存>研修医、大学院生の労働者性/ユーロピアノ事件]] )

[[大学院生の労働者性と安全配慮義務>http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-3f29.html]]

*交通事故死鳥取大学大学院生損害賠償訴訟 [#fc4e39fc]

関連の報道を記録しておきます。

**鳥取大病院医師の交通事故死 両親ら労災認定申請 /鳥取 [#r4b40d6f]

***毎日新聞 2004.3.9 [#h8711c97]

鳥取大学付属病院(米子市)で診療業務にあたっていた同大大学院博士課程4年の医師、前田伴幸さん(当時33歳)が昨年3月に交通事故死したのは過労が原因として、両親らが命日の8日、米子労働基準監督署に労災認定(遺族補償一時金支給請求)を申請した。

伴幸さんは、昨年3月8日午前8時10分ごろ、乗用車を運転中、北条町の国道9号で対向してきた大型トラックと正面衝突し死亡した。父義夫さん(61)や申請書類によると伴幸さんは前日の7日午後3時から1時間20分の手術を担当し、午後8時半から8日午前5時ごろまでは緊急手術に助手として加わった後、倉吉市内の病院に日直医として向かう途中だった。

義夫さんは「息子は医局に勤務体制の改善を求めていた。息子の死を無駄にしたくない」と話している。吉塚英夫・鳥大医学部総務課長は「勤務実態と事故との関連は何ともいえない」と言っている。

**「息子は労働者」情報求め地元紙に広告−−交通事故死の院生医師の両親 /鳥取 [#qfcdf347]

***毎日新聞 2004.6.3 [#t26eff1d]

交通事故で死亡した鳥取大大学院生の医師、前田伴幸さん(当時33歳)の両親による労災申請が認められなかった問題で、両親が早ければ4日から、伴幸さんの労働者性を示す情報を求めて地元紙に広告を掲載する。掲載は週2日で、今月いっぱい続ける予定。

両親は伴幸さんが交通事故で死亡したのは「過労が原因」として今年3月、米子労働基準監督署に労災認定を申請。同労基署は、大学院生としての実習なら労働者ではないとして「保険給付の対象外」とした。これに対し、両親は広告掲載で、伴幸さんが生前勤めていた県内などにある派遣先病院で診療を受けた患者らから情報を募り、労働者性を証明したいという。

父義夫さん(62)は「病院の協力は望めないと考え、広告を出すことにした。息子の病院での勤務実態がわかるような情報が寄せられれば」と期待している。連絡先は「〒680—0002 鳥取市浜坂東1—4—2、前田義夫さん方」へはがきか封書で。【松本杏】

**「過重労働」で事故死 医師の両親が鳥取大提訴 [#w1bfb3c0]

***共同通信 2006.7.7 [#p842477d]

徹夜勤務明けに交通事故で死亡したのは、過重労働による極度の睡眠不足や過労が原因として、死亡した鳥取大医学部大学院生で医師だった男性=当時(33)=の両親が7日までに、鳥取大に約1億4700万円の損害賠償を求める訴訟を鳥取地裁に起こした。

訴状によると、男性は2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中、大型トラックと衝突し死亡した。

男性は恒常的に長時間労働をし、事故前の3カ月は1日3時間以下の睡眠しか取れず、直前の1カ月は時間外労働が計約250時間にも及んだという。

両親は「病院が過重な労働に従事させたのは、明らかな安全配慮義務違反だ」と訴えている。

**損賠訴訟:両親が鳥取大へ「息子の死は過労が原因」−−地裁初弁論 /鳥取 [#c78cb055]

***毎日新聞 2006.9.6 [#r7444901]

◇大学側は争う姿勢

鳥取大大学院生の医師、前田伴幸さん(当時33歳)が03年3月、交通事故で死亡したのは極度の睡眠不足と過労が原因だったとして、前田さんの両親が同大に約1億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、鳥取地裁(古賀輝郎裁判長)で開かれた。同大は「雇用関係はなく、勤務していたわけではない。手術や診療は大学院生としての演習だった」などとして争う姿勢を見せた。

訴状によると、前田さんは同大医学部付属病院などで、事故の直前1カ月に約250時間の時間外休日労働をするなど、恒常的に長時間労働に従事。事故直前の1週間は4日間の徹夜勤務があり、ほとんど睡眠をとれなかった。事故の前日は朝から出勤し、徹夜の手術を終えた後、他の病院で24時間の宿直勤務に就くため移動中、心身の著しい過労状態にあったため事故にあったとした。

原告側は「実態は大学院生という名の勤務医。労働者と認められるかどうかが争点になる」と話していた。【小島健志】

**医大院生は勤務医と同じ 「過労で交通死」鳥取大に賠償命令 [#c6422354]

***産経ニュース 2009.10.16 [#z9cd1d65]

鳥取大医学部の大学院生で医師だった男性 = 当時(33) = が付属病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは、睡眠不足や過労を生じさせた大学側の責任だとして、両親が鳥取大に損害賠償を求めた訴訟の判決で鳥取地裁は16日、約2千万円の支払いを命じた。

朝日貴浩裁判長は判決理由で「大学院生の業務内容は勤務医と大きく変わらず、業務の性質は精神的負荷が高いものだ」と認定。「大学側には(過酷な勤務で)事故発生が十分予測可能だった」と安全配慮義務違反を認めた。

研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学に安全配慮義務があることを認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。

研修医については平成17年の最高裁判決が、労働基準法上の「労働者」に当たるとの初判断を示したが、原告側代理人によると、院生の労働者性を認めた判例はないという。

**医大院生「過労で事故死」 鳥取大学に賠償命令 [#eda0a814]

***47 NEWS 共同通信 2009.10.16 [#rb33dd07]

鳥取大医学部の大学院生で医師だった男性 = 当時(33) = が付属病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは、睡眠不足や過労を生じさせた大学側の責任だとして、両親が鳥取大に損害賠償を求めた訴訟の判決で鳥取地裁は16日、約2千万円の支払いを命じた。

朝日貴浩裁判長は判決理由で「大学院生の業務内容は勤務医と大きく変わらず、業務の性質は精神的負荷が高いものだ」と認定。「大学側には(過酷な勤務で)事故発生が十分予測可能だった」と安全配慮義務違反を認めた。

研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学に安全配慮義務があることを認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。

訴状などによると、男性は同病院の外科で「演習」として恒常的な長時間勤務を強いられ、2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中にトラックと衝突、死亡した。

大学病院などで院生や研修医などの若手医師は劣悪な条件で長時間勤務を強いられることが多いとされ、文部科学省は昨年、医療業務に従事する院生と雇用契約を結ぶよう、各大学に通知した。

2009/10/16 13:47   【共同通信】

**大学に「労務管理」求める判決 鳥取大病院の院生事故死 [#q6892f2f]

***47 NEWS 共同通信 2009.10.16 [#f49fd6b7]

大学病院での過酷な勤務の末に交通事故死した大学院生の医師について、大学側の安全配慮義務違反を認めた16日の鳥取地裁判決は「院生の業務内容は勤務医と変わらない」と判断。大学側に勤務医と同等の「労務管理」が必要であることを示した。研修名目などで酷使されることが多いとされる大学院生の処遇改善にもつながりそうだ。

裁判で大学側は「診療は授業科目の『演習』で、自由意思で辞められるもので『業務』ではない」と主張。遺族側は「業務そのもの」と反論していた。

朝日貴浩裁判長はこの点について「院生として在学し、診療もしていたのだから安全配慮義務があったのは明らか」とし、診療行為の法的性質を論じる必要はないと判断。院生が極度の疲労や睡眠不足に陥るのを避ける必要があったと指摘し「大学側は漫然と放置した」と厳しく批判した。

判決によると、大学院生だった前田伴幸さん=当時(33)=は同病院の外科で長時間勤務を強いられ、2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中にトラックと衝突、死亡した。

2009/10/16 16:38   【共同通信】

**院生の交通事故死は過労原因 鳥取大に2千万円賠償命令 [#b09ad38a]

***asahi.com 2009.10.16 [#n09a087f]

2009年10月16日20時39分

鳥取大付属病院(鳥取県米子市)で医療行為にあたっていた鳥取大大学院生が交通事故で死亡したのは病院での過重労働が原因として、両親が約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、鳥取地裁であった。朝日貴浩裁判長は事故と過労の因果関係を認め、安全配慮義務違反があったとして鳥取大に約2千万円の支払いを命じた。

亡くなったのは前田伴幸さん(当時33)。判決によると、前田さんは99年に医学部の大学院に入り、授業の一環として付属病院での医療業務に無給で従事。03年3月、徹夜の手術後、乗用車でアルバイト先に向かう途中、トラックと正面衝突し死亡した。直前1カ月間に約200時間の時間外労働をしていた。

大学は「雇用関係がなく、安全配慮義務はない」と争ったが、判決は「病院で業務しており、義務が生じるのは明らか」と判断。事故原因は「睡眠不足と過労による居眠り運転」と認定したうえで、「病院業務やアルバイトは前田さんの意思に基づくもの」として賠償額を算定した。

原告側代理人の松丸正弁護士は「大学院生や研修医らの過酷な労働環境に歯止めをかける判決だ」と評価した。文部科学省は08年、各地の大学に通知を出し、医療行為にあたる大学院生とは雇用契約を結ぶよう求めている。(倉富竜太)

**医師の交通事故死「過労が原因」と鳥取大に賠償命令 [#d509a31e]

***YOMIURI ONLINE 2009.10.16 [#v5f72567]

鳥取大病院(鳥取県米子市)の医師で同大学院生だった前田伴幸さん(当時33歳)が交通事故で死亡したのは過労が原因として、遺族が鳥取大に約1億1600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、鳥取地裁であった。朝日貴浩裁判長は「過労状態になるのを防ぐ安全配慮義務に違反があった」として、同大に約2000万円の支払いを命じた。

判決によると、前田さんは2003年3月、同病院での徹夜勤務の後、アルバイト先の病院に車で向かう途中、トラックと衝突し、死亡した。事故当日を含む1週間の業務従事時間は100時間を超え、アルバイト先も医局が割り当てていた。井上貴央・鳥取大医学部長は「判決をよく見ておらず、コメントできない」と話している。

(2009年10月16日20時34分  読売新聞)

**徹夜勤務医大院生事故死で2000万支払命令記事を印刷する [#b50a9a8a]

***日刊スポーツ 2009.10.16 [#ceaf1f4d]

鳥取大医学部の大学院生で医師だった男性(当時33)が付属病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは、睡眠不足や過労を生じさせた大学側の責任だとして、両親が鳥取大に損害賠償を求めた訴訟の判決で鳥取地裁(朝日貴浩裁判長)は16日、約2000万円の支払いを命じた。

研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学の責任を認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。

訴状などによると、男性は同病院の外科で「演習」として恒常的な長時間勤務を強いられ、2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中にトラックと衝突、死亡した。

大学病院などで院生や研修医などの若手医師は劣悪な条件で長時間勤務を強いられることが多いとされ、文部科学省は昨年、医療業務に従事する院生と雇用契約を結ぶよう、各大学に通知した。

研修医については05年の最高裁判決が、労働基準法上の「労働者」に当たるとの初判断を示したが、原告側代理人によると、院生の労働者性を認めた判例はないという。(共同)

[2009年10月16日14時14分]

**院生医師「過労で事故死」 鳥取大に2000万円賠償命令 [#a3dfceef]

***中国新聞 2009.10.16 [#bf0a2709]

鳥取大医学部の大学院生で医師だった前田伴幸まえた・ともゆきさん=当時(33)=が付属病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは大学側の責任だとして、両親が鳥取大に約1億1600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鳥取地裁は16日、「大学は疲労や睡眠不足から居眠り事故を招かないために必要な措置を怠った」として約2千万円の支払いを命じた。

研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学に安全配慮義務があることを認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。

朝日貴浩あさひ・たかひろ裁判長は判決理由で「大学院生として在学し、診療もしていたのだから安全配慮義務があったのは明らか」と指摘。「業務内容は勤務医と大きく変わらず、精神的負荷が高いものだ」と判断した。

その上で「大学は、前田さんがいずれ極度の疲労などから事故を起こしかねないことが十分予測可能だったのに、漫然と放置した」と安全配慮義務違反を認めた。

賠償額については大学の対応と事故との因果関係を認めた上で、前田さん本人の過失を差し引いて算出した。

判決によると、前田さんは同病院の外科で「演習」として恒常的な長時間勤務を強いられ、2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中、居眠り運転でトラックと衝突、死亡した。

大学病院などで院生や研修医などの若手医師は劣悪な条件で長時間勤務を強いられることが多いとされ、文部科学省は昨年、医療業務に従事する院生と雇用契約を結ぶよう、各大学に通知した。

研修医については05年の最高裁判決が、労働基準法上の「労働者」に当たるとの初判断を示している。

**鳥取地裁判決 2009.10.16 [#x27feeba]

原告側勝訴

http://pediatrics.news.coocan.jp/tottori_sentence.pdf

**鳥取大、過労事故死で控訴せず 徹夜の院生医師が居眠り [#ebe19099]

47 NEWS 2009.10.30

鳥取大医学部の大学院生で医師だった前田伴幸さん=当時(33)=が鳥取大病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは大学側の責任として、両親が約1億1600万円の損害賠償を求めた訴訟で、約2千万円の支払いを命じた鳥取地裁の判決に対し、鳥取大が控訴しない意向を原告側へ伝えたことが30日、大学などへの取材で分かった。

能勢隆之学長は「本学の主張の一部が認められず遺憾に感じているが、遺族の心情を察して控訴しないことを決めた」とのコメントを発表した。

原告側代理人の松丸正弁護士は「この判決を契機に、医師の過酷な勤務条件が改善されてほしい」と話した。

16日の鳥取地裁判決は「大学は疲労や睡眠不足から居眠り事故を招かないために必要な措置を怠った」と指摘。研修などの名目で無給のまま医療業務に従事する院生の医師に対しての、大学の安全配慮義務違反を認めた。

*過労死関西医大研修医未払賃金訴訟 / 損害賠償訴訟 [#j039876c]

関連の報道を記録しておきます。

**「研修医は労働者」確定 関西医大病院訴訟 遺族に未払い賃金 最高裁判決 [#t4716859]

***YOMIURI ONLINE 2005.6.3 [#f9b05c17]

1998年8月に急死した関西医科大付属病院(大阪府守口市)の研修医森大仁(ひろひと)さん(当時26歳)の遺族が、「最低賃金に満たない給料で働かされた」として、同医大に未払い賃金約59万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が3日、最高裁第2小法廷であった。福田博裁判長は「研修医には教育的側面があるが、病院のため患者の医療行為に従事することも避けられず、労働者に当たる」と述べ、約42万円の支払いを命じた大阪高裁判決を支持、同病院側の上告を棄却した。遺族側の勝訴が確定した。

あいまいな身分のまま医療機関で働く研修医を「労働者」と認めた最高裁の初判断。研修医は全国で約1万5000人に上り、過酷な勤務実態が医療ミスにつながっていると指摘されてきたが、判決は待遇の改善を促しそうだ。

判決などによると、森さんは98年春に同大を卒業して医師免許を取得。6月1日から同病院の耳鼻咽喉(いんこう)科の研修医となったが、8月16日に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した。平日は午前7時半から午後10時ごろまで採血や点滴を行ったほか、診察を手伝い、週末もしばしば指導医とともに出勤。病院からは奨学金名目で月額6万円が支払われていた。

判決は、こうした勤務の状況を踏まえ、「病院が定めた臨床研修プログラムに基づき、指導医の指示で医療行為をしており、(病院側は)給与として源泉徴収までしていた」と指摘。労働者と認めたうえで、最低賃金法の定める額との差額分の支払い命令を妥当と判断した。

遺族側は2000年に提訴。大学側は「(森さんは)学ぶため自発的意思で研修しており、労働者とは言えない」と反論したが、1、2審は労働者と認めた。一方、遺族が「過労死」を主張して同病院に損害賠償を求めた別の訴訟では、1、2審とも過労死と認めて賠償を命じ、病院側が上告しなかったため昨年確定。北大阪労働基準監督署も2002年、過労死として労災認定している。

(2005年6月3日  読売新聞)

**「研修医は労働者」最高裁も認定 関西医大に賠償命じる [#w8c5d0b2]

***asahi.com 2005.6.3 [#j7be8cb5]

大学病院で働く研修医が労働基準法や最低賃金法の「労働者」に当たるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(福田博裁判長)は3日、「労働者に当たる」とする初判断を示し、大学側の上告を棄却する判決を言い渡した。「奨学金」などとして研修医が受け取っていた額と法定の最低賃金との差額を支払うよう大学側に命じた二審判決が確定した。最高裁が研修医を労働者と認めたことで、労働時間の制限や労働組合を結成する可能性など、研修医の待遇改善を進める上で法的な根拠が確立された。

原告は、関西医科大(大阪府守口市)を卒業し、同大付属病院の耳鼻咽喉(いんこう)科の研修医だった森大仁さん(当時26)の遺族で差額賃金の支払いを求めていた。森さんは研修医になって2カ月半後の98年8月、急性心筋梗塞(こうそく)で急死した。

判決などによると、大学側は森さんに月額6万円の「奨学金」と1回あたり1万円の副直手当を支給していた。森さんは平日は午前7時半から出勤し、指導医の診察補助や点滴などを担当。帰宅は深夜が多く、指導医が当直の場合は翌朝まで病院内で待機し、副直をした。土、日曜も朝から出勤するなどで、初めて休みがとれたのは約50日続けて働いた後の7月下旬だった。

森さんの死をめぐっては「病院は研修医の健康管理を怠った」などとして過労死を認め、約8400万円の支払いを同大に命じた判決が04年に確定している。

最低賃金が保障される労働者にあたるかどうかは(1)労務の提供があったか(2)指揮監督関係があったか——などから判断される。大学側は「研修医は自分の意思で研修を受けており、労働者にはあたらない」と主張。「教育を受けていれば労務を提供していると言えないのか」が焦点になった。

第二小法廷は、臨床研修の教育的な側面を認める一方、医療行為に従事すれば、病院開設者のために働いているということになると判断。「開設者の指揮監督の下に労務を行ったと評価できる限り、研修医は労働者に当たる」との原則を示した。

そのうえで「関西医大は奨学金などが給与にあたるとして源泉徴収まで行っていた」と指摘。最低賃金を支払う義務があったと結論づけた。

一審・大阪地裁堺支部は01年、差額賃金の支払いを同大に命令。二審・大阪高裁も02年、一審を大筋で支持。差額賃金42万円の支払いを命じた。

**研修医の「過労死」初認定/医大に1億3千万賠償命令/研修は法定労働時間の倍 [#qab13759]

***共同通信 2002.2.26 [#a7f0c001]

関西医大病院(大阪府守口市)の研修医=当時(26)=が急性心筋梗塞(こうそく)で死亡したのは過酷な勤務が原因として、大阪府堺市の両親が同医大に約1億7,200万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁の坂本倫城裁判長は25日、勤務と死亡との因果関係を認め、同医大に約1億3,500万円の支払いを命じた。

判決理由で坂本裁判長は、死亡前の2カ月半を平均した研修時間が、1カ月300時間を超えていた実態について「労働基準法の法定労働時間の週40時間(月160時間)に比べ極めて長時間」と指摘。「過重な研修で疲労、ストレスが増大し、心臓機能を著しく悪化させた。大学側が健康管理に細心の注意を払っていれば研修医の異常に気付くことができたのに怠った」と結論付けた。

原告側の岡崎守延弁護士によると、裁判所が研修医の過労死を実質的に認定したのは初めて。厚生労働省が現在、研修医の待遇改善など制度改革を検討中で、議論に影響を与えそうだ。

医大側は「研修医の身分は大学院生に近く、労働者ではない」と主張したが、坂本裁判長は「研修は一般企業の新人研修的な性格や徒弟的な側面をもち、労働契約と同様の指揮命令関係がある」と、研修医を労働者とみなす判断を示した。

判決によると、研修医は1998年3月に同医大を卒業。同年6月から同医大病院耳鼻咽喉(いんこう)科の研修医となったが、同年8月16日午前零時ごろ、自宅マンションで死亡した。

平日は午前7時半から午後10時までの勤務で、休憩時間が少なく、宿直の翌日も通常通り。死亡前の同年6月から8月中旬までの2カ月半の労働時間は計約780時間に上り、6、7月の休みは5.5日しかなかったが、支給されたのは「奨学金」名目の月6万円だけだった。

この問題をめぐっては、両親が2000年4月、労働基準法違反の容疑で同病院などを告訴したが、大阪地検は昨年8月、起訴猶予などの処分を出した。また、労災認定も申請しているが2度退けられ、現在3度目の審査中。

LEFT:【原告代理人の岡崎守延弁護士の話】

研修医の厳しい労働実態を明確に認定。事実をありのまま認めた判決で、評価できる。

**研修医の過労死と認め関西医科大に賠償命令 [#icd63006]

***朝日新聞 2002.2.25 [#a4e7c59a]

関西医科大学付属病院(大阪府守口市)の研修医だった長男が死亡したのは過重な長時間労働による過労死だったとして、両親が同医大に約1億7200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。坂本倫城(みちき)裁判長は「研修で過大なストレスがかかり死亡した。病院は研修医の健康管理を怠った」と述べ、約1億3500万円の支払いを同医大に命じた。

訴えていたのは、大阪府堺市の社会保険労務士森大量(ひろのり)さん(59)と妻の勝子さん(59)で、原告代理人によると、長時間労働による研修医の過労死が認められたのは初めてという。

判決によると、森さんの長男大仁(ひろひと)さんは98年3月に同医大を卒業。医師の資格を得た後、6月から同病院耳鼻いんこう科の臨床研修医になったが、8月16日午前0時ごろ大阪府守口市の自宅で死亡し、死因は「急性心筋こうそくの疑い」とされた。26歳だった。

大仁さんは連日午前7時半に出勤し、平日は午後10時すぎまで、手術の見学で遅くなったときは翌日午前2時ごろまで病院にいた。土日もほとんど病院に出た。時間外でも頻繁にポケットベルで呼ばれ、死亡した前日も呼び出された。こうした長時間勤務に対し「奨学金」として月6万円が支給された。

判決は、6月と7月の研修時間が労働基準法の法定労働時間(週40時間)の倍を超えた▽点滴や採血、指導医の不在時の患者処置を担当し、「研修は時間的にも密度的にも過重で、精神的、肉体的に発症の原因となり得る強い負荷があった」と認めた。

医大側は「研修医の身分は大学院生に近く、病院の労働者ではない」と主張したが、判決は「労働雇用関係と同様の指揮命令関係がある」と認めたうえで、「病院は、健康診断や研修内容の軽減など研修医の健康管理に細心の注意を払う義務があるが、それを怠った」と指摘した。

大仁さんの死をめぐっては、大阪地裁堺支部が昨年8月、「研修医は指導医の命令に従って診察や治療をしており、労働者にあたる」と認め、遺族共済年金や未払い賃金に相当する総額約916万円を両親に支払うよう大学側に命じた。医大側は控訴している。

**研修医/臨床教育の抜本改善を [#w0d091b1]

***神戸新聞 2002.2.28 [#fb7cd152]

大学医学部を終えて、国家試験に合格すると、医師になる。しかし、臨床経験がないため、通常二年間は大学病院などで現場の経験を積む。こうした人たちを研修医というが、長時間労働や低い賃金がたびたび問題になってきた。

「研修医の身分は大学院生に近いもので労働者ではない」という考え方が、医療界に根強いからだ。

こうした医療界の“常識”を覆す判決が大阪地裁で言い渡された。

関西医大病院の研修医だった青年医師(26)が急性心筋梗塞(こうそく)で死亡したのは、過酷な勤務が原因だとして、医師の両親が医大に損害賠償を求めていた訴訟で、裁判所は過労死だったことを認めた。

この研修医は死亡二カ月半前の労働時間は約七百八十時間で、休憩時間は少なく、宿直明けも通常通り午前七時から午後十時までで、給与は「奨学金」名目の月六万円だった。信じられない勤務実態だ。

判決は、医大が健康管理への注意を怠ったとした上で、「研修は一般企業の新人契約的な側面を持ち、労働契約と同様の指揮命令関係がある」という判断を示した。研修医の過労死が認められたのは、初めてだという。

問題は、このケースが例外ではないという点である。厚労省の医師臨床検討部会の資料では、研修医の給与は国立大病院で十九万円、私立で九万円となっている。医師といえば高額所得者のイメージを抱くが、国公立大研修医の88%がアルバイトをし、私大研修医の91%は十万円以下の給与(医学連調査)で、多くは生活が苦しいと訴えている。

病院側も人手不足を埋め合わせるのに、低賃金の研修医に頼る。夜間、経験不足の研修医が一人で救急患者に対応する例も珍しくない。睡眠不足のまま、研修病院での勤務につく。研修医がからむ医療事故が絶えないのも、こんな背景があるからだ。

大学病院の古い体質に加え、研修プログラムが確立されていないことが原因といっていい。

厚労省では、二〇〇四年から努力規定だった研修を義務化するため、カリキュラムの検討を続けているが、研究中心で教育軽視の傾向が強い大学病院では限界があるのではないか。一般大学卒業後、臨床重視のメディカルスクールに進学し、終了後に研修を経て資格を得る米国式なども検討すべきだろう。

待遇の改善を含め、研修を抜本的に改めないかぎり、医療の質向上は望めない。

**研修医過労死認定 患者にとっても不幸だ [#ed0a4f23]

***沖縄タイムズ 社説 2002.2.27 [#a1c42fc8]

研修医の森大仁さんが急性心筋梗塞(こうそく)で亡くなったのは、過酷な勤務が原因として、大阪地裁は一億三千五百万円の支払いを関西医大病院に言い渡した。

死亡前の労働時間は月平均で三百時間を超えていた。労働基準法が定めた労働時間の週四十時間、月百六十時間を大幅に上回る勤務である。

判決では「大学側が健康管理に細心の注意を払っていれば研修医の異常に気付くことができたのに怠った」と大学側の使用者責任に言及した。

研修医の過労死を初めて認定したものである。

関西医大病院は今回の判決を重く受け止め、一刻も早い解決に努めるべきだ。

それのみならず、全国の研修医が置かれている労働環境の改善も図られなければならないだろう。

昨年十二月、本紙連載の「医の今」のルポは森さんの過酷な勤務状況を浮かび上がらせた。

「朝から仕事していても、なかなか昼食も食べられない」「医師たちがアルバイトに出掛けるため全部まかされるからつらい」。病院での様子だ。

森さんの元患者は「早朝から晩遅くまで働かされ、給料も安く、近くにマンションを借りてまで仕事をしていた」と証言している。

過重労働は研修医に限ったことではない。県内の救急医療に携わる医師の労働条件も一般常識からかけ離れたものがあるという。

医師や研修医が健康な状態で医療に臨めないとすれば、医療の質の向上も望めない。

医師の労働環境は、病気を診る側だけの問題にとどまらない。患者側にとっても重要なことなのだ。

厚生労働省は研修医の待遇改善など制度改革を検討している。県内も含め全国で森さんのようなケースが起きているからだ。

同じ轍(てつ)を踏むようなことがあれば、医師側、患者側にとっても不幸なことである。

**[労働者認定] 研修医の質の向上に [#w3032fd2]

***沖縄タイムズ 社説 2005.6.6 [#wbf0b3b1]

最高裁第二小法廷は、大学病院の研修医は労働基準法上の労働者に当たる、とする初判断を示した。

一九九八年に急性心筋梗塞で死亡し、過労死が認定されている二十六歳(当時)の研修医の遺族が、勤めていた関西医大病院(大阪府)に対し、「最低賃金の水準を下回っているのは不当」と訴えていた。

大学は「奨学金」として月六万円を支給していたが、最低賃金との差額約四十万円を支払うよう大学に命じた一、二審の判決が確定した。

大学病院側は、自分の意思による研修で労働者に当たらない、と主張。教育を受けている研修医の勤務が労務の提供となるのか、が焦点となった。

福田博裁判長は、臨床研修が医師の資質向上を図る教育的側面を認めつつも、「指導医の指導で医療行為に従事すれば、病院の指揮監督下で労務を提供したといえる」と判断した。

同研修医の過労死認定は昨年で、大阪高裁判決は大学側に研修医の健康管理を怠ったなどとして約九千三百万円の支払いを命じている。

新人医師が学ぶ研修医の期間は、あいまいな身分から「安価な労働力」として酷使される状況を生んできた。

このことが医療事故の多発や医療技術の低下、また研修医自身の過労死などさまざまな弊害を生んでいると指摘されてきた。

研修医を労働者と認めた初の判断は、徒弟制的な研修医制度の改革を大学など受け入れの病院側に求めることになろう。

厚生労働省は、昨年四月から医療の質の向上を目的に医師免許取得後の二年間の臨床研修を義務化した。また、医療事故の要因ともなっていたアルバイト診療の禁止の徹底も図っている。

病院側には研修プログラムの強化とともに、月三十万円程度の収入の確保を求め、研修医と労働契約を結ぶ病院もでてきている。

研修医制度の見直しは、医の底上げにつながる。判決はこの流れを加速するものと期待したい。

**参考 [#y2d25840]

-[[インターンシップの法的問題>http://www.hr-plaza.com/webmagazine/law/page09.html]] ( [[保存>研修医、大学院生の労働者性/インターンシップの法的問題]] )
-[[労働基準法の「労働者」の判断基準>http://www.asao-sr.jp/article/13198123.html]] ( [[保存>研修医、大学院生の労働者性/労働基準法の「労働者」の判断基準]] )
-[[研修医は労働者ー大阪地裁堺支部で初判断ー>http://www.jlaf.jp/tsushin/2001/1038.html]] ( [[保存>研修医、大学院生の労働者性/研修医は労働者ー大阪地裁堺支部で初判断ー]] )
-[[研修医の過労死に初の司法判断>http://homepage2.nifty.com/karousirenrakukai/15-30=kenshuinokaroshi.htm]] ( [[保存>研修医、大学院生の労働者性/研修医の過労死に初の司法判断]] )
-[[研修医の過労死に労災認定>http://homepage2.nifty.com/karousirenrakukai/15-096=kenshuuinokaroshirosainintei.htm]] ( [[保存>研修医、大学院生の労働者性/研修医の過労死に労災認定]] )


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