*序論 [#b63ba264]

**相互扶助 vs. 損害賠償 [#rd60faf6]

日本の健康保険医療は、相互扶助を基本とし、国民が等しく費用を負担して、病気、ケガをしたときにお互いに助け合うという、社会保障の一翼を担うシステムです。

これに対しまして、交通事故の被害者の医療は、ケガを負ったことについて、金銭による賠償を求めるというシステムです。交通事故の被害者、傷害事件や暴行の被害者は、加害者に対して損害についての賠償を請求するという民法にのっとったもので、また社会通念上でも当たり前の考え方です。

個人の損害賠償と、国民の健康を守る社会保障システムとは、全く次元の違う話なのですが、健康保険の関連法規で、交通事故の被害者の医療を含め、第三者行為によるケガの医療を認めています。私の個人的な印象では、健康保険の第三者行為という手続きは、相手に損害賠償の請求ができないような状況、例えば賠償能力がない加害者による傷害事件などで被害者を救済する、というような性格の、例外的なものだと思います。

加害者の分からないひき逃げ事故、盗難車による事故、無保険車による事故の被害者に対しましては、[[自賠責保険による政府の保障事業:http://www.houko.com/00/01/S30/097.HTM#s4]]があります。

自賠責保険は、一般道路を走る車両が強制的に加入させられる保険であり、損害保険会社は自賠責保険で利益を上げるわけではなく、また自賠責保険の支払により損害を受けるのでもないのが原則です ( [[ノーロス・ノープロフィット no loss, no profit の原則:http://www.nliro.or.jp/contents/rate/c01.html]] )。
自賠責保険は、一般道路を走る車両が強制的に加入させられる保険であり、損害保険会社は自賠責保険で利益を上げるわけではなく、また自賠責保険の支払により損害を受けるのでもないのが原則です ( ノーロス・ノープロフィット no loss, no profit の原則 )。

自賠責より健康保険で治療した方が得だ、というコメントをあちこちで見ますが、健康保険医療は法令による制限、制約を受ける医療でもあります。また、過失割合がケガをした側にかなり高い場合であっても、自賠責保険は適用されます。健康保険による治療が得とは必ずしも言えません。

健康保険第三者行為の手続きを行った場合、保険者は加害者に損害賠償を請求するわけですが、これが 100% 賠償を勝ち取っているわけではなく、健康保険第三者行為の手続きを取ることは、健康保険財政に多少なりとも負担をかけているといえます。もしも第三者行為の手続きを取ることなく交通事故被害者の治療に健康保険を使いますと、健康保険制度、ひいては保険料を納めている多くの国民に対する背任ともいえる行為です。

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