*過労死関西医大研修医未払賃金訴訟 / 損害賠償訴訟 [#j039876c]

関連の報道を記録しておきます。

**「研修医は労働者」確定 関西医大病院訴訟 遺族に未払い賃金 最高裁判決 [#t4716859]

***YOMIURI ONLINE 2005.6.3 [#f9b05c17]

1998年8月に急死した関西医科大付属病院(大阪府守口市)の研修医森大仁(ひろひと)さん(当時26歳)の遺族が、「最低賃金に満たない給料で働かされた」として、同医大に未払い賃金約59万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が3日、最高裁第2小法廷であった。福田博裁判長は「研修医には教育的側面があるが、病院のため患者の医療行為に従事することも避けられず、労働者に当たる」と述べ、約42万円の支払いを命じた大阪高裁判決を支持、同病院側の上告を棄却した。遺族側の勝訴が確定した。

あいまいな身分のまま医療機関で働く研修医を「労働者」と認めた最高裁の初判断。研修医は全国で約1万5000人に上り、過酷な勤務実態が医療ミスにつながっていると指摘されてきたが、判決は待遇の改善を促しそうだ。

判決などによると、森さんは98年春に同大を卒業して医師免許を取得。6月1日から同病院の耳鼻咽喉(いんこう)科の研修医となったが、8月16日に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した。平日は午前7時半から午後10時ごろまで採血や点滴を行ったほか、診察を手伝い、週末もしばしば指導医とともに出勤。病院からは奨学金名目で月額6万円が支払われていた。

判決は、こうした勤務の状況を踏まえ、「病院が定めた臨床研修プログラムに基づき、指導医の指示で医療行為をしており、(病院側は)給与として源泉徴収までしていた」と指摘。労働者と認めたうえで、最低賃金法の定める額との差額分の支払い命令を妥当と判断した。

遺族側は2000年に提訴。大学側は「(森さんは)学ぶため自発的意思で研修しており、労働者とは言えない」と反論したが、1、2審は労働者と認めた。一方、遺族が「過労死」を主張して同病院に損害賠償を求めた別の訴訟では、1、2審とも過労死と認めて賠償を命じ、病院側が上告しなかったため昨年確定。北大阪労働基準監督署も2002年、過労死として労災認定している。

(2005年6月3日  読売新聞)

**「研修医は労働者」最高裁も認定 関西医大に賠償命じる [#w8c5d0b2]

***asahi.com 2005.6.3 [#j7be8cb5]

大学病院で働く研修医が労働基準法や最低賃金法の「労働者」に当たるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(福田博裁判長)は3日、「労働者に当たる」とする初判断を示し、大学側の上告を棄却する判決を言い渡した。「奨学金」などとして研修医が受け取っていた額と法定の最低賃金との差額を支払うよう大学側に命じた二審判決が確定した。最高裁が研修医を労働者と認めたことで、労働時間の制限や労働組合を結成する可能性など、研修医の待遇改善を進める上で法的な根拠が確立された。

原告は、関西医科大(大阪府守口市)を卒業し、同大付属病院の耳鼻咽喉(いんこう)科の研修医だった森大仁さん(当時26)の遺族で差額賃金の支払いを求めていた。森さんは研修医になって2カ月半後の98年8月、急性心筋梗塞(こうそく)で急死した。

判決などによると、大学側は森さんに月額6万円の「奨学金」と1回あたり1万円の副直手当を支給していた。森さんは平日は午前7時半から出勤し、指導医の診察補助や点滴などを担当。帰宅は深夜が多く、指導医が当直の場合は翌朝まで病院内で待機し、副直をした。土、日曜も朝から出勤するなどで、初めて休みがとれたのは約50日続けて働いた後の7月下旬だった。

森さんの死をめぐっては「病院は研修医の健康管理を怠った」などとして過労死を認め、約8400万円の支払いを同大に命じた判決が04年に確定している。

最低賃金が保障される労働者にあたるかどうかは(1)労務の提供があったか(2)指揮監督関係があったか——などから判断される。大学側は「研修医は自分の意思で研修を受けており、労働者にはあたらない」と主張。「教育を受けていれば労務を提供していると言えないのか」が焦点になった。

第二小法廷は、臨床研修の教育的な側面を認める一方、医療行為に従事すれば、病院開設者のために働いているということになると判断。「開設者の指揮監督の下に労務を行ったと評価できる限り、研修医は労働者に当たる」との原則を示した。

そのうえで「関西医大は奨学金などが給与にあたるとして源泉徴収まで行っていた」と指摘。最低賃金を支払う義務があったと結論づけた。

一審・大阪地裁堺支部は01年、差額賃金の支払いを同大に命令。二審・大阪高裁も02年、一審を大筋で支持。差額賃金42万円の支払いを命じた。

**研修医の「過労死」初認定/医大に1億3千万賠償命令/研修は法定労働時間の倍 [#qab13759]

***共同通信 2002.2.26 [#a7f0c001]

関西医大病院(大阪府守口市)の研修医=当時(26)=が急性心筋梗塞(こうそく)で死亡したのは過酷な勤務が原因として、大阪府堺市の両親が同医大に約1億7,200万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁の坂本倫城裁判長は25日、勤務と死亡との因果関係を認め、同医大に約1億3,500万円の支払いを命じた。

判決理由で坂本裁判長は、死亡前の2カ月半を平均した研修時間が、1カ月300時間を超えていた実態について「労働基準法の法定労働時間の週40時間(月160時間)に比べ極めて長時間」と指摘。「過重な研修で疲労、ストレスが増大し、心臓機能を著しく悪化させた。大学側が健康管理に細心の注意を払っていれば研修医の異常に気付くことができたのに怠った」と結論付けた。

原告側の岡崎守延弁護士によると、裁判所が研修医の過労死を実質的に認定したのは初めて。厚生労働省が現在、研修医の待遇改善など制度改革を検討中で、議論に影響を与えそうだ。

医大側は「研修医の身分は大学院生に近く、労働者ではない」と主張したが、坂本裁判長は「研修は一般企業の新人研修的な性格や徒弟的な側面をもち、労働契約と同様の指揮命令関係がある」と、研修医を労働者とみなす判断を示した。

判決によると、研修医は1998年3月に同医大を卒業。同年6月から同医大病院耳鼻咽喉(いんこう)科の研修医となったが、同年8月16日午前零時ごろ、自宅マンションで死亡した。

平日は午前7時半から午後10時までの勤務で、休憩時間が少なく、宿直の翌日も通常通り。死亡前の同年6月から8月中旬までの2カ月半の労働時間は計約780時間に上り、6、7月の休みは5.5日しかなかったが、支給されたのは「奨学金」名目の月6万円だけだった。

この問題をめぐっては、両親が2000年4月、労働基準法違反の容疑で同病院などを告訴したが、大阪地検は昨年8月、起訴猶予などの処分を出した。また、労災認定も申請しているが2度退けられ、現在3度目の審査中。

LEFT:【原告代理人の岡崎守延弁護士の話】

研修医の厳しい労働実態を明確に認定。事実をありのまま認めた判決で、評価できる。

**研修医の過労死と認め関西医科大に賠償命令 [#icd63006]

***朝日新聞 2002.2.25 [#a4e7c59a]

関西医科大学付属病院(大阪府守口市)の研修医だった長男が死亡したのは過重な長時間労働による過労死だったとして、両親が同医大に約1億7200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。坂本倫城(みちき)裁判長は「研修で過大なストレスがかかり死亡した。病院は研修医の健康管理を怠った」と述べ、約1億3500万円の支払いを同医大に命じた。

訴えていたのは、大阪府堺市の社会保険労務士森大量(ひろのり)さん(59)と妻の勝子さん(59)で、原告代理人によると、長時間労働による研修医の過労死が認められたのは初めてという。

判決によると、森さんの長男大仁(ひろひと)さんは98年3月に同医大を卒業。医師の資格を得た後、6月から同病院耳鼻いんこう科の臨床研修医になったが、8月16日午前0時ごろ大阪府守口市の自宅で死亡し、死因は「急性心筋こうそくの疑い」とされた。26歳だった。

大仁さんは連日午前7時半に出勤し、平日は午後10時すぎまで、手術の見学で遅くなったときは翌日午前2時ごろまで病院にいた。土日もほとんど病院に出た。時間外でも頻繁にポケットベルで呼ばれ、死亡した前日も呼び出された。こうした長時間勤務に対し「奨学金」として月6万円が支給された。

判決は、6月と7月の研修時間が労働基準法の法定労働時間(週40時間)の倍を超えた▽点滴や採血、指導医の不在時の患者処置を担当し、「研修は時間的にも密度的にも過重で、精神的、肉体的に発症の原因となり得る強い負荷があった」と認めた。

医大側は「研修医の身分は大学院生に近く、病院の労働者ではない」と主張したが、判決は「労働雇用関係と同様の指揮命令関係がある」と認めたうえで、「病院は、健康診断や研修内容の軽減など研修医の健康管理に細心の注意を払う義務があるが、それを怠った」と指摘した。

大仁さんの死をめぐっては、大阪地裁堺支部が昨年8月、「研修医は指導医の命令に従って診察や治療をしており、労働者にあたる」と認め、遺族共済年金や未払い賃金に相当する総額約916万円を両親に支払うよう大学側に命じた。医大側は控訴している。

**研修医/臨床教育の抜本改善を [#w0d091b1]

***神戸新聞 2002.2.28 [#fb7cd152]

大学医学部を終えて、国家試験に合格すると、医師になる。しかし、臨床経験がないため、通常二年間は大学病院などで現場の経験を積む。こうした人たちを研修医というが、長時間労働や低い賃金がたびたび問題になってきた。

「研修医の身分は大学院生に近いもので労働者ではない」という考え方が、医療界に根強いからだ。

こうした医療界の“常識”を覆す判決が大阪地裁で言い渡された。

関西医大病院の研修医だった青年医師(26)が急性心筋梗塞(こうそく)で死亡したのは、過酷な勤務が原因だとして、医師の両親が医大に損害賠償を求めていた訴訟で、裁判所は過労死だったことを認めた。

この研修医は死亡二カ月半前の労働時間は約七百八十時間で、休憩時間は少なく、宿直明けも通常通り午前七時から午後十時までで、給与は「奨学金」名目の月六万円だった。信じられない勤務実態だ。

判決は、医大が健康管理への注意を怠ったとした上で、「研修は一般企業の新人契約的な側面を持ち、労働契約と同様の指揮命令関係がある」という判断を示した。研修医の過労死が認められたのは、初めてだという。

問題は、このケースが例外ではないという点である。厚労省の医師臨床検討部会の資料では、研修医の給与は国立大病院で十九万円、私立で九万円となっている。医師といえば高額所得者のイメージを抱くが、国公立大研修医の88%がアルバイトをし、私大研修医の91%は十万円以下の給与(医学連調査)で、多くは生活が苦しいと訴えている。

病院側も人手不足を埋め合わせるのに、低賃金の研修医に頼る。夜間、経験不足の研修医が一人で救急患者に対応する例も珍しくない。睡眠不足のまま、研修病院での勤務につく。研修医がからむ医療事故が絶えないのも、こんな背景があるからだ。

大学病院の古い体質に加え、研修プログラムが確立されていないことが原因といっていい。

厚労省では、二〇〇四年から努力規定だった研修を義務化するため、カリキュラムの検討を続けているが、研究中心で教育軽視の傾向が強い大学病院では限界があるのではないか。一般大学卒業後、臨床重視のメディカルスクールに進学し、終了後に研修を経て資格を得る米国式なども検討すべきだろう。

待遇の改善を含め、研修を抜本的に改めないかぎり、医療の質向上は望めない。

**研修医過労死認定 患者にとっても不幸だ [#ed0a4f23]

***沖縄タイムズ 社説 2002.2.27 [#a1c42fc8]

研修医の森大仁さんが急性心筋梗塞(こうそく)で亡くなったのは、過酷な勤務が原因として、大阪地裁は一億三千五百万円の支払いを関西医大病院に言い渡した。

死亡前の労働時間は月平均で三百時間を超えていた。労働基準法が定めた労働時間の週四十時間、月百六十時間を大幅に上回る勤務である。

判決では「大学側が健康管理に細心の注意を払っていれば研修医の異常に気付くことができたのに怠った」と大学側の使用者責任に言及した。

研修医の過労死を初めて認定したものである。

関西医大病院は今回の判決を重く受け止め、一刻も早い解決に努めるべきだ。

それのみならず、全国の研修医が置かれている労働環境の改善も図られなければならないだろう。

昨年十二月、本紙連載の「医の今」のルポは森さんの過酷な勤務状況を浮かび上がらせた。

「朝から仕事していても、なかなか昼食も食べられない」「医師たちがアルバイトに出掛けるため全部まかされるからつらい」。病院での様子だ。

森さんの元患者は「早朝から晩遅くまで働かされ、給料も安く、近くにマンションを借りてまで仕事をしていた」と証言している。

過重労働は研修医に限ったことではない。県内の救急医療に携わる医師の労働条件も一般常識からかけ離れたものがあるという。

医師や研修医が健康な状態で医療に臨めないとすれば、医療の質の向上も望めない。

医師の労働環境は、病気を診る側だけの問題にとどまらない。患者側にとっても重要なことなのだ。

厚生労働省は研修医の待遇改善など制度改革を検討している。県内も含め全国で森さんのようなケースが起きているからだ。

同じ轍(てつ)を踏むようなことがあれば、医師側、患者側にとっても不幸なことである。

**[労働者認定] 研修医の質の向上に [#w3032fd2]

***沖縄タイムズ 社説 2005.6.6 [#wbf0b3b1]

最高裁第二小法廷は、大学病院の研修医は労働基準法上の労働者に当たる、とする初判断を示した。

一九九八年に急性心筋梗塞で死亡し、過労死が認定されている二十六歳(当時)の研修医の遺族が、勤めていた関西医大病院(大阪府)に対し、「最低賃金の水準を下回っているのは不当」と訴えていた。

大学は「奨学金」として月六万円を支給していたが、最低賃金との差額約四十万円を支払うよう大学に命じた一、二審の判決が確定した。

大学病院側は、自分の意思による研修で労働者に当たらない、と主張。教育を受けている研修医の勤務が労務の提供となるのか、が焦点となった。

福田博裁判長は、臨床研修が医師の資質向上を図る教育的側面を認めつつも、「指導医の指導で医療行為に従事すれば、病院の指揮監督下で労務を提供したといえる」と判断した。

同研修医の過労死認定は昨年で、大阪高裁判決は大学側に研修医の健康管理を怠ったなどとして約九千三百万円の支払いを命じている。

新人医師が学ぶ研修医の期間は、あいまいな身分から「安価な労働力」として酷使される状況を生んできた。

このことが医療事故の多発や医療技術の低下、また研修医自身の過労死などさまざまな弊害を生んでいると指摘されてきた。

研修医を労働者と認めた初の判断は、徒弟制的な研修医制度の改革を大学など受け入れの病院側に求めることになろう。

厚生労働省は、昨年四月から医療の質の向上を目的に医師免許取得後の二年間の臨床研修を義務化した。また、医療事故の要因ともなっていたアルバイト診療の禁止の徹底も図っている。

病院側には研修プログラムの強化とともに、月三十万円程度の収入の確保を求め、研修医と労働契約を結ぶ病院もでてきている。

研修医制度の見直しは、医の底上げにつながる。判決はこの流れを加速するものと期待したい。


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