医療危機 †

昭和 36 年、国民皆保険制度が開始される時、制限医療に反対して医療危機突破大会が全国的規模で行われました。東京では日比谷公園に東京都医師会員 8000 人が集まりました。開業医ばかりでなく大学や病院の勤務医も集まり、大変な危機感に燃えていました。医師たちが反対した制限医療とは疾患の治療を一定の枠内で行わせるものでした。つまり肺炎には抗生剤は 3 日まで、心筋梗塞の入院は 1 週間までといった医療に制限をもうけるものでした。

そして現在、この制限医療が行われようとしています。大学病院の医療包括化はすでに実施され、一般病院にも広がろうとしています。医療包括化の導入を成功させるため包括化の報酬を適正に設定していますが、今後、この報酬が減額されることはこれまでの医療政策をみれば分かることです。また老人医療費が増加しているので、老人医療費に枠組みを作り、制限をもうける政策も行われようとしています。これらは制限医療であり、日本の医療は悪い方向に向かっています。そして気がついたときには最悪の医療になっている可能性があります。今こそが最も大きな医療危機の入り口にあるといえます。

官僚主義医療の特徴は規制で医療機関を縛ばり、医師の裁量権を認めず、医療そのものを制限することです。このような制限医療では国民の健康を守ることは困難です。

23_1.png
23_2.png

混合診療は自己負担増の危険性を含んでいる †

23_3.png

最近になり医療費を補充するために混合診療の導入が話題になっています。しかしこの混合診療には危険性が隠されています。現在の混合医療は差額ベッド代などの生命とは関係のない部分ですが、これは患者さんの快適性を高める上で問題はありません。患者さんの生命とは関係のない部分を混合診療とするのが一般に考えられている混合診療です。しかし政府の考える混合医療とは、生命に関わる部分にも患者さんの自己負担増を求めることなのです。

合法的混合診療 ( 特定療養費 ) によって患者負担が増えれば、低所得者の国民が困ることになります。診療報酬の削減によって病院が廃院となれば、周辺の住民が困ることになります。また病院職員は路頭に迷うことになります。病院が不採算部門を切り離し儲けだけを追求すれば、病院を追い出された患者は医療難民になります。このように医療費抑制政策が国民と医療従事者を直撃しているのに、多くの人たちにはそれを知らないでいます。

国民のほとんどは医療の質をあげて欲しいと望んでいます。また医療の安全性を最も望んでいます。しかし、このふたつを達成させるためには医療費を上げなければ不可能です。そこで政府は国の医療費負担を上げるのではなく、混合医療や株式会社の導入などで患者負担を上げようとしていまです。これは大変危険なことです。

国民生活に関する内閣府の世論調査では、国民が一番望んでいるのが医療・福祉・年金の充実です。このことは、10 年間変わっていません。誰も公共事業など希望していないのです。政府は、この国民の希望とは反対の政策を行っています。

国民生活に関する世論調査 ( 総理府、平成 11 年 ) †

23_4.png

トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2008-09-10 (水) 13:52:51 (3356d)