医療費の内訳 †

国民医療費は限られた財源と考えられます。そこに新しい参入者が入れば、医療関係者一人当たりの収入が減ることになります。昭和の終わりごろから調剤薬局が増加しましたが、この調剤薬局の国民医療費に占める割合がしだいに大きくなっています。そして現在、調剤薬局は歯科の取り分を超えています。

国民医療費構成割合 †

15_1.png

調剤薬局が正しい医療制度ならば院外処方を 10 割にすべきですが、政府は 5 割近くなった現在、調剤薬局を抑制する政策を出しました。院外薬局では国民医療費が高くなるので院外薬局は 5 割程度でよいだろうと政策を転換させたのです。日本の医療行政はこのように気まぐれなのです。

院外薬局と同じように次に狙われているのが電子カルテです。電子カルテの導入はタダではありません。またメーカー同士の互換性もありません。もし 200 床程度の病院で電子カルテを導入すれば数億円かかります。政府が電子カルテの普及を主張するならば、その費用は政府が出すべきですが、すべて病院の負担になります。政府、厚労省の考えは医療を良くすることではなく、コンピュータ会社を儲けさせることなのです。しかも電子カルテ導入に日本医師会も賛成しており、誰も反対していません。この現状が非常に不思議に思えます。

レセプト ( 医療費明細書 ) の統計をみると上位 10% の患者さんが総医療費の 6 割を使っています。そして上位 1% の患者さんが総医療費の 26% を使っています。ですから開業医を受診する患者さんの数は多いのですが、使われている医療費は意外に少ないのです。このことから診療所の診察料を減額しても医療費全体からみれば微々たるもので、医療費カットの効果は少ないといえます。本当は、医療費全体の 26% を使っている高額医療の部分をどうするかを議論すべきです。しかし、生命がかかわっているため議論はなされていません。

レセプト点数別医療費割合 †

15_2.png

高額レセプトの患者さんが高度医療で生命が助かるならよいことです。しかし高額レセプト上位 20 の患者さんの 9 割はその月に死亡しており、そして残り 1 割の患者さんも、翌月に死亡しているか、ほとんど社会復帰をしていません。何のための高額医療、高度医療なのか、この現状をふまえた議論をすべきです。

医師の務めは病気を治すことですが、治らない患者さんの苦しみを取ることも医師の責任のはずです。しかし日本のモルヒネ消費量はカナダの 5% にすぎません。

1 日当たりのモルヒネ消費量 †

15_3.png

このようなモルヒネ消費量で患者の痛みが取れるのでしょうか。痛みを取って欲しいという患者さんにとって日本は本当に良い医療を行っているのでしょうか。高額医療、高度医療も大切ですが、患者さんのためには、もっと身近な医療についても議論しなければいけません。


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2008-09-10 (水) 13:52:51 (3360d)